マチネの終わりに


美しい余韻が残る大人の物語でした。


残り少なくなっていくページを見ながら
もっともっと読んでいたい 浸っていたい
この世界に留まりたいと願ってしまうほど

一つの小説を読み終えた後、
「この物語に出会えてよかった」と思うと
思わずその小説をそっと抱きしめてしまう。
この小説もそんな大切な一冊になりました


歴史背景やマニアック詩の引用、クラシックギターの専門的な話や複雑な社会情勢などの話題も多く、深くゆっくり、時には色んなことを調べながら読み込みことが必要でした。
難しいはずなのに
とても読みやすい。そのギャップにも驚き、
平野啓一郎さんの作品をもっと読んでみたいと思いました。

自分が日頃感じている感情の数々
そしてそれは自分で言葉に変換するまでもなく
日々に流され消えてゆく
小説を読んで心を掴まれたり、嬉しくなったりするのはそんな数々の曖昧なまま終わらせた感情を丁寧な文章によって再確認するとき

あ、私と同じこと考えている
そうそうあの感情って言葉にすればこういうことだ

こうして言葉にならないはずだった感情を
小説の中で言葉として発見できたとき、
曖昧なまま消えていった感情を形にしてあげられたようで嬉しくなる

うまいなぁと感服する

それが小説の醍醐味かな

そして改めて、
私はやっぱり美文が好きだ
そう確信した一冊でした。

いい物語は誰かに読んでもらって共有したくなる

ということで
主人にも同じ本を買ってプレゼントしました
「同じ本を読んで感想を語り合う。しかも遠慮なく」
ずっと憧れていたこと
結婚当初にも数冊、同じ本を買ってプレゼントしてみましたが何度かトライしてくれるも
最後までは一度も叶わなかったその夢がこの小説でついに叶いそう

私の方が物語の先をいっているので
忙しい仕事の合間を縫って
半ば家族サービスでゆっくり読み進んでいる主人に

「今どの辺?」
「あ〜〜その場面!ふんふん。」

なんて煽ったりなんかして
相手の心情を想像してその後の展開を知る私はちょっとした優越感。笑

忙しくすれ違いがちな毎日でも
同じ世界を共有していると思えば
楽しい気持ちになる
生活では知り得ない相手の色んな部分を物語の感想を通して知れるって長い夫婦生活の上で新鮮さをもたらしてくれるものだと思うんだけどなぁ




子供たちが本を読めるようになったら
月交代でそれぞれ課題図書を選んで
家族みんなで読んで感想を語り合うという光景を密かに想像して憧れています

この夫婦と家族の
課題図書計画の夢を語ると友人に
あなたはつくづくロマンチストだけど地味だと笑われました(ーー;)
んん、、、。

褒められているということにしておきます^^


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