マダムor奥さま考

結婚してからというもの
必然的に「奥さま」と呼ばれる機会が増えました。

主に夫と連れ立って向かう先、
馴染みのレストランやブティック、業者さんetc...
一般的に″サービス″をしてくださる方は
ほとんどみなさん
「奥さま」と呼んで下さいます。


結婚当初、20台半ばだったので
その「奥さま」という響きに馴染めず
呼ばれるたびにそわそわしていました。

昨日まで1人の″あゆみちゃん″だったわたしが
結婚した瞬間、奥さまに。

その時は

「え?奥さま?いやいや、そんなんじゃないんで。やめてください。。」

と、なんだか居所の悪い、そんな心境。

ただ、相手はそう言われたところで
わたしをなんと呼べばいいのか。

名前で呼ぶ?もちろん。親しくなったら。

だけど日常生活で接するひとすべてに
「私を奥様と呼ぶのはくすぐったいからやめてください。名前はあゆみです。そこんとこ、ひとつよろしく」といちいち言って回るのも変な話。

なので自分としては抵抗があっても
相手にとっては便利であろう「奥さま」呼びに
どうにか慣れようとしてきました。

夫婦の呼び名にはセットがあります。

夫と妻
主人と家内
旦那と嫁

その他、相方やパートナーと呼ぶ人。

あ!地元大阪には
オマエ、アンタという
クラシックな呼び方もある。笑


私個人としては夫婦は考え方の上でいつでも対等にいたいと思うので″夫と妻″が一番しっくりくる。


そして、外部の人からの
呼び名で一般的なのは
やはり、ご主人、奥さま。


この″ご主人、奥さま″という響きには
どうしても
 ″主″とそれをあくまで奥で″支える人″というニュアンスを連想させます。
″奥″の人。

その点、フランス圏に来ると
″ご主人、奥さま″がそのまま
″ムシュー、マダム″という呼び方に変わる。

この″マダム″という響き、
日本では「マダムっぽい」というと、、
どこか粉っぽさを感じるような
ステレオタイプのお金持ちのおばさまを想像してしまうというようなイメージがありますが
フランス圏では
既婚女性or既婚だとわからなくても
明らかに大人だとわかる女性に対して使われる呼称。それ以上でもそれ以下でもない。

呼ばれる意味やシュチュエーションは同じでも
日本で″奥さま″と呼ばれる時の感覚と
フランス圏で″マダム″とよばれる時に感じる気持ちは自分自身の体感としてかなり違う。


日本で″奥さま″と呼ばれると
なんとなく″ご主人″に付随するもの。
3歩下がって...というか
″お淑やかにしなくちゃスイッチ″が無意識に入ってしまう(わたしだけかな...)のとは違って
フランス圏での″マダム″呼びは
ひとりの自立した女性として扱われる敬意を感じる。
″奥″にいるどころか″個″として、
威風堂々とした気持ちになれる。
 
実際に周りを見渡しても
こちらのマダムは実に堂々たる雰囲気の方が多いと感じます。
年齢が自信につながるような生き方をしてきた人の風格。
年齢もダイヤのカラット数と同じように大きい方がいいわ。というような。(本音はどうかわかりませんが...)


30台も中盤に差し掛かり、
もう完全に″女子″でも″お嬢さん″でもなくなったわたしが目指すところはどこなのか。


この年齢くらいで
その方針をそろそろ決める時期がきたのではないのかと思うので
この奥さまとマダム論は一考の価値ありかな。





随分前に読んだ
辻仁成さんのエッセイに
「マダムと奥さま」というものがありました。
日々のフランスでの暮らしで気づいたことや感じたことが日本人目線で綴られた読みやすい本です。

辻仁成さんの作品は
小説はいろいろと読んできましたが
エッセイはこの本が初めて。
いい意味で辻仁成さんのイメージが変わった本。
くだけた語り口で
わかる〜!と
共感できたり親近感たっぷりの面白い一冊。







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