あのこは貴族

久しぶりに映画館へ。

「あのこは貴族」




原作は山内マリコさん



何度か読み返した程
個人的にとっても面白いと思った
お気に入りの小説。


そんな作品が実写化されると聞いて
決まって感じるのは、嬉しさと複雑さ。

原作が面白ければ面白いほど
実写版に対して
期待しすぎないように気持ちを抑えて観る。

ですが!
この映画はとーっても!
素晴らしかった...!


物語の主人公は

東京の上流階級出身のお嬢様と
田舎育ちで努力のみでのし上がってきた地方女子

そんな全く違う生き方をする
2人の女性がそれぞれの立場を乗り越えて
自分を見つめて人生を切り開こうとする姿を描いた作品。

箱入りのお嬢様、華子役は門脇麦さん
地方出身女子、美紀役は水原希子さん


それぞれの生きづらさ

もともとの家柄があるからこその生きづらさ

上京し、自由を手に入れたと思っていたのに
東京で生きていくことの生きづらさ

そんな辛さや葛藤が
双方の人生や環境を対比するような形で
描かれます

お互いに対極にあるような環境や育ちといった
バックグラウンドだけど
それぞれに影響を受けて
そこから学ぶべきものがある

多様性を受け入れて、
いい部分は柔軟に自分に取り入れ向上させる。 

今の時代こそ、
通じるメッセージかなと思いました

観賞後、一緒に行った友人と
お茶をしながら感想を語らっていたのですが
お嬢様の華子の設定は
さすがにちょっと古い価値観だね。と。

最近の東京のお嬢様は
のほほんと箱入り、というよりも
そんな箱に入っておらず
一生懸命勉強して、キャリアを築いたり、起業したりするような感じが主流になってきているような気がする

社会構造がどんどん変わってきて
箱にはいったお嬢様のままではいられない 
ようになってきている

実際、息子の友達の女の子たちも
お嬢様ほど熱心にスポーツや勉強をしている
  

わたし自身は
完全に地方出身女子の美紀寄り(大阪なのでそこまで田舎ではなかったけれど)
なので共感することが多かった

上京して自力で生きてきた期間が長いこともあり
東京のこの感じ、わかる、わかると。


そして東京暮らしも長くなってきた
今は華子側の世界も近からずも遠からず、
といった環境にいるからこそ
分かる部分もたくさんありました。

細かいディティールを掴んでいるなぁと感心。


一緒に映画館に行った友人は
彼女自身、超のつくお嬢さま。

ですが+地方出身ということもあり
この物語の華子側も美紀側も
うんうん、分かる。といった感想。
とてもバランスが取れた視点で感想を語らえて楽しかった。時間、足りなかったね。


都会の上流階級層も
地方に代々暮らす層も

「なんだか似ているね」

と劇中での美紀のセリフが印象的

そこに生まれ、その中の価値観の中で育ち
子どもを生みまた同じようにその場所で育てる
その、繰り返し。


本当だ。根本がすごく似てる。
 

人の生き方としては
双方、そこから一歩飛び出て
誰でもない何者でもない″ひとりの女性″として生きられることが本来は心地いいのことなのかもしれない


そして
″女性同士で争わない″

それもこの物語のテーマのひとつ

理解し合えないかもしれないけど寄り添う

違う立場の女性の声を、
自分のフィルターを通すことなく
声のまま聞く。

お互いを讃え合うことができたなら
何よりもパワフルな仲間なんだと認識する


国際女性デーの翌日に
この作品を観られたことも何かの縁だったのかなと思います


最後に山内マリコさんの
オススメの作品を紹介させてください


「東京23話」





東京23区それぞれを擬人化し
それぞれの目線でひとり語りするという短編集

渋谷区ってそうそうこんなキャラだよね
港区ってこんなヤツだぁー!笑

なんて、わかるわかる!がいっぱい!
特に東京に住んだことがある方に
ぜひ読んでみて欲しいです。


「かわいい結婚」も面白かった。




結婚や女性の人生についての
短編作品集

山内マリコさんの作品には
現代を生きるわたしたちのリアリティが
細やかで綿密な描写によって写し出されてる
そしてどこかシュールで
ところどころでクスッと笑えるのも魅力





小説でも映画でも、
作品を観た後に残る
余韻を楽しむ時間が幸せ

あれはどういうこと?
こういうこと?わたしならこうかな。
いや、でもこの立場からみるとこうおもうかもetc...
と頭の中で物語を反芻する時間は 
心に良質の刺激をくれる。

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