音楽のサステナビリティ


音楽における「サンプリング」という手法。


HiphopやR&B Reggaeなどの
ブラックミュージックで
昔からよく使われている音楽手法のひとつ。
(最近はその他のジャンルでも当たり前になってきたみたい)


既に存在する楽曲の
メロディーやドラムやベース、
イントロなどの一部分の音を切り取り、
その切り取られた部分を
使い、新たな楽曲を作り出すこと。


カバーや替え歌ともまた違う、
新たな解釈でアレンジしなおす制作法。


昔のJazzやFunk.SoulやBlues.などから
インスピレーションを得て
一部を切り取り、サンプリングされた
曲はたくさんある。


ここ最近の中で
 スキ!と思ったのがこちら





H.E.R.  「Do To Me」


H.E.R.はお気に入りの
R&Bアーティスト。




Photo by@hermusicofficial


アリシアキースが
彼女の曲をSNSでシェアしたことを
きっかけにここ、数年で一気に注目され、
すでに今のR&B界を牽引しているような存在の彼女。


重厚なビートに滑らかで美しい歌声が
重なるように絡まり、
独特の世界観に引き込まれる。


最近発表されたこの「Do To Me」は
レゲエの名曲からのサンプリング。


元ネタと呼ばれる元々の曲は
さかのぼること50年以上も前、
Toots&The Maytals というグループが発表した
BamBamという楽曲。


その後、ジャマイカのシンガー
シスターナンシーが
この楽曲をサンプリングし、大ヒットしたり






Sister Nancy BamBam

(わたしはこちらが元ネタだと思ってた)


PLIERS ver. の
Bam Bamが
再びダンスホールシーン絶頂期に
大ヒットしたり。


比較的最近では
Jay Zがダミアンマーリー(ボブマーリーの息子)を客演に迎えた

Jay Z
Bam.ft Damian Marley




これもBamBam のサンプリング楽曲。

これを聴くとやっぱり
Jay Zってやっぱり....渋いわ。じーん。


さすが、Beyonceを射止めただけある。
いや、射止められたの?

この2人は
ビッグカップルすぎて
そのどちらだとしても、しっくりくる。
  
と、まぁ、こんな感じで
さまざまな流れがあり、


2020年の現在、最初に紹介した
このH.E.R.による現代版BamBam
「Do to Me」へ続いていることになる。


このサンプリングという音楽手法、
アーティストによって
生まれ変わらせ方が様々だから
まったく新しい曲に聴こえることも。


新曲のはずなのに
なーんか聴いたことある。
耳馴染みがあるな。と
よくよく聴いていたら
あ!これ、あの曲のサンプリングだ!
なんて気がつく瞬間がある。


そうして調べると
元ネタと思っていた
そのさらに元ネタを発見したり。

辿っていく過程で
いろんなアーティストを知ることにもなり
音楽の幅や楽しみが拡がる。




元ネタを知っていると
それぞれのアーティストの
アレンジの発想やセンスが
わかりやすく見えるから面白い。


アイディアのかけらを
自分のものとして吸収し、
そこからオリジナルに発展させていくこと。


そのアップサイクルは
古い曲が魔法がかかったように
時代を経て、モダンに蘇る魔法のよう。

それにより、
また昔の音も新鮮に聞こえたりするから不思議。



洋服でいうと過去の
ブランドのアーカイブコレクションから
新しく蘇らせて発表するのと少し似てる。


クラシックをモダンに装い直す。


形を変え、アレンジをくわえながら
長く愛するということは
洋服にも音楽にも通ずる発想なんだなと。


そう考えると一曲一曲を
さらに大切にしたくなる。


サンプリングもいう概念を知らなければ
想像力に欠ける「コピー」だと評されることも
ある。(実際にそういうアレンジもあるけど)


毎日のように大量の音楽が作られて
しばらく経つと、褪せて忘れられ、消費される。


だけど、受け継いでいきたいと思うほどの
楽曲を新しく生まれ変わらせる
この発想と手法は革新的で革命的だと思う。



流行り廃りの
激しい音楽業界におけるサステナブルとも言える。


これからもいろんなアーティストが
さまざまな解釈でいろんなアレンジを聴かせてくれるのがとても楽しみ。

いい音楽に対し、
アーティストがサンプリングという形で
継承するのなら
聞き手であるわたしたちはそれを追って
聴き継ぐことで音楽を生きたものにする。






Comments

  1. サンプリングは自分以外の観念との和合を表現してるとも言います。
    hipjopネイションのアフリカバンバータはvoodooの英知からそういう精神性を込めておりました。

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